まだまだ頑張る現役総編集長の奮闘録
2025.03.11

【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(22) 3年目の車検を取りました。
3年4.8万kmのトータル電費は?

さて、3年間のトータルの電費とコストを報告しよう。ディ―ラーによると、私が走破した4万7887kmの走行距離は、新車のタイカンとしては一二を争うほどの長さだそうだ。それゆえ、このデータはかなり信頼できるものではないかと思う。
3年間で消費した電力は1万2486.02kWhであった。従って電費は3.835km/kWhとなる。ポルシェをそれなりに元気に走らせ、しかも行程に必ず相応のアップダウンがあれば、こんなものかと思う。
この数値をガソリン車(911を想定)と比較をしてみると、1kWhが30円、1Lのハイオクが195円、燃費を9km/Lと仮定すれば、37万4581円に対し、103万7552円となり、約2.7倍のコストとなってしまうのだ。
諸物価高騰の折、この数値の差はなかなか魅力的である。しかも、車検の際の費用も注目に値する。前回の点検のレポートにも書いたが、意外にもEVは維持費がかなり安い。
今回の車検でも法定点検以外は殆どかからず、エアコンフィルターの交換ぐらいで、ブレーキオイルすらサービスキャンペーンの時に交換していたので不要であった。一番高かったのはとりあえず延長した1年間の保証で、13万9700円だったのである。1年間に留めたのは、この間に、次の通勤特急の車種を決める予定だからだ。
結論としては、車検の際のコストまで考慮に入れても、EVの維持費は圧倒的に安価であるのは間違いない。仮に車両価格がガソリン車と同等かそれ以下になれば、更にEVの魅力は高まると思う。
EV失速の中、今しばらくの様子見

昨年の春頃から、世界的にEVの販売が失速し、多くのメーカーが戦略の見直しを迫られている。一時期は、2030年代の中ごろには内燃機関の新車は無くなってしまうのでは、と思われていたのが、今では新しいエンジンの開発まで行われる勢いだ。
ここまで社会が大きく変貌したのは、まだ満足には程遠い充電網の整備状況や、BEVの高価なこと、クルマそのものの信頼性への不安などが重なり、購入にまで至らないユーザーが多いからであろう。
しかも、最近では、韓国や中国のメーカーが安価で性能の良いBEVを次々と発表してきており、既存のメーカーのヒエラルキーも崩れ去りつつあるのが現実だ。特に中国は、政府の庇護のもとで、安価なBEVを輸出してマーケットを圧倒しようとしているのが見え見えだ。
これに対し、世界の趨勢は今やHEVやPHEVに傾きつつあるが、これもよく考えれば、実に中途半端である。一台のクルマに内燃機関とモーターを両方備え、しかもスペースと重量の関係でバッテリーの容量を大きくはできないので、一般的にEV仕様での走行可能距離は非常に短いのだ。
現在のようなレベルなら、動力装置をどちらかに決めて、更なる効率を求めたほうが理に適っている、と思うのだが如何なものだろうか。PHEVで給油もしながら、時に充電もするのはとても煩わしいと思うのだが。
水素を燃料とする燃料電池車も優れているが、まだまだ、開発途上でなかなか広範な実用性は確保できていない。
以上のような日に日に変化する状況では、おいそれとBEVの新車を購入するわけにもいかず、かといって、最後のチャンスとばかりエンジン車を購入してみても、さしてレポートする事もないし、そもそも編集者として面白くないのである。
という事から、取り合えず今回は車検を取って様子を見、確信が持てたところで、しかるべきクルマに乗り換えを行おうということになったのである。
という訳で、もうしばらくこのレポートにお付き合い頂きたい。