3点式シートベルトを初採用 ボルボ・アマゾン UK版中古車ガイド(1) 安全性と耐久性を確立

公開 : 2025.05.25 17:45

安全性と耐久性という、ボルボのイメージを確立 3点式シートベルトを採用した初の量産車 70年前の設計と思わせない操縦性 堅牢なエンジンも摩耗は避けられず UK編集部が北欧の名車を振り返る

安全性と耐久性 イメージを確立したアマゾン

安全性と耐久性という、ボルボのイメージを確立したモデルが、1956年発売のアマゾン。120シリーズとして、ご記憶の読者もいらっしゃるはず。現代的な見た目にランバーサポート付きの快適なシート、軽量・強固なボディで、世界中の人気を集めた。

コンビと呼ばれる実用性に長けたステーションワゴンも、他メーカーに先駆けて導入されている。車重はサルーンより300kgも重かったが。

ボルボ・アマゾン(120シリーズ/1956〜1970年/英国仕様)
ボルボ・アマゾン(120シリーズ/1956〜1970年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

初期型は1.6Lエンジンで、ホワイトウォールのクロスプライ・タイヤが標準。内装はビニルレザーで、フロアマットはゴム製。これは後に、カーペットへ切り替えられている。ルーフ部分にロールオーバーバーが内蔵され、横転事故にも配慮されていた。

ツインキャブレター・エンジンでは、むき出しのエアフィルターが加速時に勇ましい吸気音を響かせ、賛否両論が出た。とはいえ、120km/h前後での巡航時は充分静かだったが。より上品な速度上昇を求めるなら、シングルキャブレターも選ぶことはできた。

3点式シートベルトを採用した初の量産車

安全性という面では、3点式シートベルトを前席に採用した、初の量産車がアマゾン。1959年のことだ。オーバーホールなしで16万kmの走行距離に耐える、信頼性も自慢だった。

個性的なスタイリングを手掛けたのは、ヤン・ウィルスガード氏。美しい見た目は、1960年代でも充分に通用するものといえた。北欧のクルマらしくヒーターは強力で、ラジエーター前には過冷却を防ぐシャッターが備わっている。

ボルボ・アマゾン(120シリーズ/1956〜1970年/英国仕様)
ボルボ・アマゾン(120シリーズ/1956〜1970年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

1961年には、5枚のベアリングがクランクを支える、1.8LのB18エンジンが登場。たくましさと燃費で、人気を下支えした。10年後には、太いピラーや小さなガラスエリアは時代遅れに見えつつあったが、2.0LのB20エンジンが登場し、延命に成功している。

現存例は、何らかの改造を受けている場合が殆ど。プレートと書類の型式番号などが、一致するか確認したい。最初の数字はボディタイプで、1がサルーン、2がステーションワゴン。2番目はドアの数で、2が4ドアで3が2ドア。3番目はエンジンの仕様となる。

オーナーの意見を聞いてみる

「所有しているクルマで、最も信頼できる1台です」。と微笑みながら話すのは、1970年式アマゾンのオーナー、デイブ・コーク氏。B20エンジンの、131だ。

「15年間、父親が所有していたクルマで、5年前に自分が譲り受けました。それ以前のオーナーは父の知人で、7年間も売って欲しいと頼んでいたようです。1980年代までは、冬の休暇のたびに南フランスへ向かっていたと聞いています」

ボルボ・アマゾン(120シリーズ/1956〜1970年/英国仕様)
ボルボ・アマゾン(120シリーズ/1956〜1970年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

「フロントフェンダーがサビていて、COVID-19のロックダウン中に交換しました。スウェーデンから取り寄せましたが、1000ポンド(約19万円)もかかりました。電子制御のディストリビューターと、MTのオーバードライブ、電動パワステも組んでいます」

「いつも運転を楽しんでいます。ドア周りのクロームトリムが足りていませんし、サイドウインドウはチェーン式で、摩耗して落ちることがあります。必要な部分を直しながら、ずっと乗り続けたいですね」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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