バスと同じ速度で電費を稼ぐ BMW i5 ツーリング 長期テスト(4) 乗り心地が変わる空気圧

公開 : 2025.04.20 09:46

BMWを支えてきたステーションワゴンがEVに 英国価格は約2000万円 総合600psを発揮するM60 xドライブの能力は? 最新世代の5シリーズ・ツーリングを長期テストで検証

積算1万5820km 乗り心地が悪化する高めの空気圧

BMW i5 ツーリングのタイヤの空気圧を、2.7barへ高めてみた。ステアリングの反応に、変化は感じられない。しかし、乗り心地の落ち着きが僅かに悪化したことは、すぐに実感できた。

BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)
BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)

積算1万8629km 気分を回復してくれる快適さ

仕事へ疲れていても、i5 ツーリングは気分を回復してくれる。春の陽気の中でも、3分ほど待てば車内は適温になり、シートは充分冷える。高音質なオーディオで軽快な音楽を再生し、サンルーフのブラインドを開いて流せば、気分転換できること間違いなし。

それでもスッキリしないなら、ドライブは止めた方が良いかもしれない。ちゃんと休養した方が良い。

BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)
BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)

積算1万9112km 初代ディフェンダーを牽引

筆者の古いランドローバー・ディフェンダーは、インジェクターの劣化で始動性が悪化していた。発進するまで手間はかかるものの、自動車盗難を防げる可能性があるとも考えていた。途中で諦めてくれるかもしれない。

ところが先日、エンジンが本当にかからなくなった。i5 ツーリングで牽引し、修理工場へ。滑らかで逞しいパワーデリバリーのおかげで、安定して移動させることができた。軽くない車重も、こんな場面では役に立つ。

ランドローバー・ディフェンダーを牽引するBMW i5 M60 xドライブ・ツーリング
ランドローバー・ディフェンダーを牽引するBMW i5 M60 xドライブ・ツーリング

積算1万9473km 途中で充電するか否かで迷う

i5 ツーリングへ乗り始めて数か月が経つが、まだ新しい驚きは少なくない。多くの機能が実装されているし、走らせ方でエネルギー効率が変わることも発見の1つといえる。オーナーなら程なく飽きるとしても、好電費を狙うのはゲーム感覚で意外と面白い。

先日は、実家へ戻るためグレートブリテン島南部のオックスフォードシャー州から、南のハンプシャー州まで向かった。実家の周辺も所要で走り回ったが、途中で充電する手間を考えて、気張らずに運転した。

BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)
BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)

それでも帰路では、駆動用バッテリーの残量がおぼつかなくなった。予想の航続距離は、気温が低かったこともあり、実際以上に減っていく。途中で公共の充電器を利用するかどうか、自宅に充電器を敷設している電気自動車ユーザーの多くは、迷う条件だったはず。

残量5%で自宅へ到着 電費は5.1km/kWhを記録

周囲はすっかり暗い。サービスエリアにある、急速充電器の電気代は割高だ。自宅まで、電気が足りるかどうかは際どい。

バスやトラックの後ろについて速度を落とし、航続距離を少しでも伸ばして走り切るか。5分程度クルマを止めて、駆動用バッテリーを軽く充電するか。それなら、おやつも買える。ジレンマだ。

BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)
BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)

しばらく悩みつつ走らせて、途中のサービスエリアの導入路へ車線変更。高めの電気代が請求されるであろう、シェルの急速充電器へi5 ツーリングを寄せた。

ところが売店から戻ってくると、充電に失敗していた。クルマの充電ポートとの位置が離れていて、充電ケーブルが過度に張った状態だったらしい。

改めてケーブルを繋ぎ直そうかとも思ったが、時間的に急いで帰りたかった。バッテリーの回復は諦めて、観光バスの少し後方を大人しく追走することに。残量5%というところで、何とか自宅へ辿り着いた。

その日の電費は、相当に優秀な平均5.1km/kWhを記録した。81kWhの電気で、往復420kmを走ることができたことになる。1袋のハリボー(グミ)を、ドライバーは消費したが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト BMW i5 ツーリングの前後関係

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